2016年4月16日土曜日

桃山人夜話~絵本百物語~(著者:桃山人、画図:竹原春泉)

 
<目次>
第一章 画図編
第二章 翻刻編
第三章 現代語訳編
白蔵主飛縁魔狐者異塩の長司磯撫死神野宿火寝肥周防大蝦豆狸山地乳柳女老人の火手洗鬼出世螺旧鼠二口女溝出葛の葉芝右衛門狸波山帷子辻歯黒べったり赤ゑいの魚船幽霊遺言幽霊 水乞幽霊手負蛇五位の光於菊虫野鉄砲天火野狐鬼熊かみなり小豆洗山男恙虫風の神鍛冶が嬶柳婆桂男夜の楽屋舞首
桃山人夜話は桃山人(江戸時代後期の戯作者、桃花園三千麿とされている)さんの書いた江戸時代の人気妖怪本です。
本書は画図編、翻刻編、現代語訳編の三章で構成されています(Kindleで読んでいるので、実際の本との編集や構成などに違いがあるかもしれないです)
画図を載せる技術はないですが、翻刻編と現代語訳編はこのように載っています(以下本書より一部引用)
翻刻編 第三 狐者異(こわい)
狐者異は我慢豪情の一名にして、世話に云無別者也。生ては法にかはらず、人を恐れず人のものを取くらひ、死しては妄念執着の思ひを引て無量のかたちを顕し、仏法世法の妨げをなす。依て仏経にも狐にたぐへて疑心にたとへり。只恐るべきは自己の悪念なり。この貪着をさらざる時は仏といへどもきらひ恐れ給ふと有。世に恐ろしきことをこわいと云は、是より出たる詞也。
現代語訳編 第三 狐者異(こわい)
狐者異とは高慢・強情のまたの名にして、世間にいう無分別者のことである。生あるうちは世のおきてを顧みず、人を恐れず人の物を平気で取り食らい、死んだ後は迷いに執着してこの世に様々な姿を現し、仏道や俗世間の法に妨げをなす。よって経典でもこの狐者異をきつねになぞらえ疑心に喩え、「ただ恐るべきは自らの悪心である。これに執着している時は、いくら仏様でも嫌いなお恐れになる」と書いている。世に恐ろしいことを「こわい」というのは、ここから出た言葉である。
翻刻、現代語訳共に載せられていて丁寧な作りになっています(古語が苦手なので現代語訳はありがたかったです)
それと話についてですが、面白いものもあれば、生きていく上のためになる話もあります。人生に苦戦している人は少し光明が見い出せる(かも)です。難点と云えば妖怪の数が少ないところですね。

逆に鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集の方は妖怪の数が多くお得感たっぷりの本ですが、現代語訳がなくちゃんと理解できているのか不安になります。本の作りとしてはどちらも一長一短ですが、妖怪など不思議な物に興味がある人はどちらの本もお勧めです。サービス精神が滲み出ているので買って満足すると思います。
あと、水木しげるさんの決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様もお勧めです。一ページに絵が半分、話や解説が半分で構成されていて、それが辞書のような厚さになっています。自分の住んでいるところの妖怪を見つけると興奮すること間違いなしですよ。

桃山人夜話以外の本も紹介してしまいましたが、私の読んできた妖怪関連の本はお得感や解説が良かったり、親切で丁寧な作りだったりと最高です。妖怪好きはきっと聡明な人たちに違いない(謎の確信)と自然と尊敬してしまいます。
ではでは。

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